白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「そうですか?」
「うん。酔ってるでしょう?」
「そんなことないです。これくらい平気です」
「はは、可愛いな」
「・・・え」
まるでその単語が、この会話の流れで出てくることが当然のように言われた「可愛い」の一言に、私は手を止めて北川先輩を見た。
そしてその全てを見透かしたように先輩は言葉を続ける。
「そんなに可愛い姿見せられたら、帰したくなくなるんだけど」
畳かけるように、自然に涼しい顔で。
心臓がきゅんとした。単純だけど。
さっきの電話のことなど忘れて、この心地の良い空間に流されてしまいたい。
「この後、予定ある?」
「え、」
「食事終わったら飲み直さない?僕の部屋で」
「先輩の、部屋で・・・」
「実は美味しいワインを貰って、一人で飲むのは勿体ないと思っていたんだ。だから家崎さえ良ければ」
自然に、だけど直球で誘われている。
その言葉への返事がどれだけ重要か、わからないほど子供ではないし、純粋でもない。