白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
北川先輩は良い人だ。
ちゃんとその人となりも知っているのだから、雰囲気に流されたわけではない。先輩なら、里香にも反対されないだろう。たぶん。
だから答えを出そうとした。
膝の上に乗せた右手を強く握って、意を決して答えようとした。でもそれは、突然肩に乗せられた手によって止められた。その不機嫌な声と一緒に。
「お断りします」
なんで?
さっきの胸の高鳴りなんて、ほんの小さな水の弾みでしかなかったことを知らしめるほどの大きな鼓動。降り止まない雨音みたいに、私を震わす。
「え、誰?」
先輩の視線が、戸惑ったように私の上へと移る。
「申し訳ないですが、彼女は俺が連れて帰ります」
「あの、待って!」
「何?」
振り返って見上げると、すぐにその瞳につかまった。
全てが最初からそうだったみたいに。
昨日出逢ったばかりの男に、私は泣きたくなった。
「なんで、あなたがここにいるの?」
「俺と約束しておいて、他の男とデートなんていい度胸だな」
不機嫌に、だけど甘い笑みを浮かべて私を見下ろす男の姿は、悔しいけれどその名前に相応しい。。
ちゃんとその人となりも知っているのだから、雰囲気に流されたわけではない。先輩なら、里香にも反対されないだろう。たぶん。
だから答えを出そうとした。
膝の上に乗せた右手を強く握って、意を決して答えようとした。でもそれは、突然肩に乗せられた手によって止められた。その不機嫌な声と一緒に。
「お断りします」
なんで?
さっきの胸の高鳴りなんて、ほんの小さな水の弾みでしかなかったことを知らしめるほどの大きな鼓動。降り止まない雨音みたいに、私を震わす。
「え、誰?」
先輩の視線が、戸惑ったように私の上へと移る。
「申し訳ないですが、彼女は俺が連れて帰ります」
「あの、待って!」
「何?」
振り返って見上げると、すぐにその瞳につかまった。
全てが最初からそうだったみたいに。
昨日出逢ったばかりの男に、私は泣きたくなった。
「なんで、あなたがここにいるの?」
「俺と約束しておいて、他の男とデートなんていい度胸だな」
不機嫌に、だけど甘い笑みを浮かべて私を見下ろす男の姿は、悔しいけれどその名前に相応しい。。