白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
一つだけ、思うことがある。
「先輩、私、今日は帰ります」
「え?家崎?」
「私から誘ったのに、ごめんなさい」
驚いて目を丸くする先輩の手が、私から離れていく。
「家崎、それってどういう意味?」
「それは・・・わっ」
答えに迷う私の身体がまた、違う力で抱き寄せられた。
だから倒れ込むように、その身体に背中を預けることになる。見上げた先には、羨ましいくらいに綺麗な顔。
「椿王子です」
そう言って、先輩に手を差し出した男のスーツから、甘い匂いがした。
一つだけ、わかることがある。
この男は、危険だ。