白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「ムカつくほど、楽しみにしていたのか?」

「・・・は?」

「だってそうだろ?俺に約束を破られたと思って、どうでもいい男とヤケ酒するなんて、俺に会いたかったとしか思えない」

あまりに勝手な推測に、否定したいのに頬は熱くなる。

「別に、そんなつもりで言っていません。ただ、早くお詫びをしないと落ち着かなかっただけです」

「ふーん。ま、どっちでもいいけど」

「え?」

静かな車内で視線がぶつかる。

「俺は芙美に会いたかったから」

綺麗な男は、何を躊躇うことなく言葉を吐いた。

「昨日の夜別れてから、ずっとね」

こうれでは不機嫌に顔を顰めている私がバカみたいだ。
男の勝ち誇った笑みが余計にそう感じさせる。

「そういう冗談は、嫌いです」

「冗談じゃないって言ったら?」

「・・・嘘に決まってる」

「どうかな?」

「・・・信じません」

「なんだ。残念」

全く、これっぽっちも残念そうではない。
< 31 / 186 >

この作品をシェア

pagetop