白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
ご飯、食べずに来てくれたの?
本当に忙しくて、遅れちゃっただけなんだ。

「あの、どうして私の居場所がわかったんですか?」

リビングから続く広いキッチンに立つ椿王子に近づく。

「何回か行ったことある店だったから、音でわかった」

「音でって、すごいですね」

「でも、わかる店で良かった」

「え?」

「危うく、芙美を喰われるところだったからな」

対面式のキッチンカウンター越しに、男が私を見る。

「別に、先輩とはそういう関係じゃありません」

「向こうはそうでもなさそうだったけどな」

それを言われると、言い返せないし、事実流されようとしていた自分もいた。

「・・・あの、何か手伝いましょうか?」

「料理出来るの?」

「それなりに」

「私生活まで“出来る女”?」

「え?」

「LDVカンパニーの広報はとても優秀、尚且つ美人だって聞いたことはあったけど、ただの噂ではないみたいだな」

「それは、大袈裟に言われているだけですよ。何食べますか?作りますよ」
< 34 / 186 >

この作品をシェア

pagetop