白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
そんなことを考えながら、私もテレビに視線を集中させる。
どれくらい時間が過ぎたかわからなくなった頃、身体が落ちるような感覚に、驚いて顔を上げた。

「眠い?」

「へ?」

「さっきから、ウトウトしてる」

そう言って、椿王子が私の手からワイングラスを取る。

「すみません」

顔を上げると、思っていた以上に近くで視線が重なった。

「急に寄り掛かってくるから、誘っているのかと思った」

つまり、この距離は私が作ったもの。

「ごめんなさい!」

「いいよ。俺も退屈な映画だと思っていたとこだし」

「そうなんですか?」

「うん。外、出る?」

「そと?」

「冷たい風に当たれば、目も覚めるよ」

視線を窓に向けると、来た時よりも輝く夜景。

▲▼▲▼

「寒い」

押し開けた扉から、バルコニーに出る。
今日は風が少ないと言っても、この高さだとそれなりに強い。そう広くはないバルコニーは、通常よりも高めの手摺壁で囲われている。近づくと、風の音がよく聞こえる。
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