白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
流されたんじゃない。
甘い口づけに、蕩けるように堕ちたのだ。
私の熱が、確かに増す。
長い長いキスは、思考の全てを奪い、目の前の男をただ見つめさせた。

「その目は、誘ってる?」

「・・・わかりません」

「やっぱ、可愛いな」

「・・・っ」

優しく笑った椿社長が、もう一度私を抱きしめた。
それだけで、怖いほどに満たされる。
ずっとこのままならいいのに。

「あの、私」

「タクシー呼ぶよ」

「・・・へ?」

耳元で囁かれた言葉に、私は背中に回そうとした手を止めた。だって、予想外だ。

「こんな時間まで付き合わせて悪かったな。明日は休み?」

「あの、はい」

「休みの日くらい、ゆくりしろよ?」

そう言った椿社長は、私の身体を離すと、手を引いて部屋へと戻り始める。
その行動に、私は呆気にとられる。
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