白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「この一週間生きた心地がしなかったわ」
「そ、そんなに!?」
「本当、なんでこんなことになったんだろう」
溜息を吐きながら、手元のボールペンをクルクルと回す。
「あの、ごめんね?まさか、芙美ちゃんがそこまで嫌がっているなんて思わなくて。私、無理矢理に研修の講師をお願いしちゃったよね・・・」
「・・・え?」
さっきまでとは明らかに声のトーンが違う里香を、不思議に思い顔を上げる。
そもそも私は今、なんの話をしていた?
「でもほら、やっぱり芙美ちゃんみたいな、綺麗でカッコイイ先輩を見たほうが、新社員の子たちにも刺激になると言うか、目標にもなるし」
必死で話す彼女の言葉の意味を理解して、また溜息が出た。
私、何をやっているのだろう。
「里香、ごめん」
「・・・芙美ちゃん?」
仕事中に、同期に余計な心配かけて。
せっかく私を信頼して頼んでくれた仕事なのに。
「私が変なのは、仕事じゃないの」
「へ?」
「仕事で悩んでいるわけじゃないの。ただ、あんたが相手だから油断しただけ。だから、ごめん」