白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「だって、悩んでいるにしてはお肌がいつもより綺麗なんだもん!」
「え、なにその理由?!」
「ただでさえ綺麗な芙美ちゃんがさらに綺麗になって溜息吐いちゃうなんて、恋以外に考えられないよ!いつ?どこで?どんな人?」
純粋無垢を絵に描いたように瞳を輝かせる里香に、私は無意識に目が泳ぐ。
「何勘違いしているのか知らないけど、そんなんじゃないから」
出てくる言葉も、いつもよりテンポが悪い。
「でも、男の人でしょう?」
「そういうわけじゃ、」
「ほら!目が泳いでる!」
「泳いでない!」
何この子!?何で今日はこんなに鋭いのよ!
「まさか芙美ちゃん、また!」
大袈裟に口を押さえた里香の言いたいことは、聞かなくてもわかる。
「寝てないから!」
「本当に?」
「本当!自分でも吃驚するくらいにね!!」
だってあの夜、私は本当に一人タクシーに乗せられて自宅に帰ったのだから。