白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
夜景の見えるマンションでの出来事が、全て夢だったのではないかと思えるくらいに、私はアッサリと帰された。
「すごい!あの芙美ちゃんが何もなく帰って来たなんて信じられない!」
「ねえ、さっきから言い方失礼じゃない?それに……キスはした」
ここで誤魔化しても、どうせ里香には話すだろうから、この際全てを吐いてしまおうかとも思う。
「うーん……この際キスは許す!」
「許すって、いつからあんたの許可制になったのよ」
なんとも嬉しそうな笑みを向けられたけど、こっちは笑っていられるの状況ではない。
「それで、その人とは良い感じなの?」
「全く」
「キスしたのに?」
「キスくらい今迄だって散々したわよ」
「でも、一週間も悩むのは初めてでしょう?」
「……別に、悩んでない」
「どんな人?」
終わらない里香からの質問攻めに、まだ二回しか会ってない男の顔が浮かんでしまう。
悔しいほど鮮明に。
「……性格が、悪そうな男」
「そうなの!?」