白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「それと、たぶん、彼女持ち」
あの部屋に飾られていた写真は、きっとそういうことだ。
「えええ!!」
あんなの、どう考えても恋人だ。
いや、婚約者かもしれない。
「残念だけど、里香が期待するような関係にはならないよ」
きっと気まぐれで家に招いて、気まぐれでキスをしただけだ。そんな男の言葉、信じるべきじゃない。
「でも芙美ちゃんはその人のこと、気になるんだよね?」
「え?」
「それくらいわかるよ。何年一緒にいると思ってるの?いつもの流されちゃった恋じゃないことくらい、芙美ちゃん見てればわかる」
いつも迷惑なくらい鈍感な里香が、まるで全てを見透かすように眉を下げた。
「どこに惹かれたの?」
「え?」
「芙美ちゃんはその人のどこに惹かれて、そんなに悩ましい日々を送っているのかなって」
「それがわかったら悩まないよ」
本当に私って、どうしようもない人間だ。
「もしかして一目惚れ?」
「……一目惚れって、私が?」