白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
まるで自分を納得させるみたいに、目の前の男を飾りつける、良いところ探し。
いつものことだ。
後になればそれがわかるのに、何故かその場ではわからない。まさに盲目。シャットダウン。
本当に誠実な人なら、直後に私をホテルに連れ込まないだろう。しかも駅前の安いラブホテル。
だけど「結婚」の一言に浮かされた私は、そんなことには目を閉じて、まだよく知りもしない男に抱かれることを選ぶ。「運命」なんて都合の良い言葉を信じて。
そう、いつものこと。
後悔するのは、朝を迎えてから。

「どうしよう・・・」

完全に間違えてしまった。
だいたいアルコールも抜けて冷静に考えれば、結婚なんて意識できるような現実的な話は何もされていない。
ただ褒められ続けただけだ。
最悪だ。その上、昨夜の情事ときたら・・・

「下手過ぎ」

とにかく退屈なセックスで、求められた二度目には応えずに眠ってしまった。
何よりもダメ押しは、部屋に残されたメモ。【また連絡するよ】

「結婚したい女を、一人ラブホに置いていくか普通」
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