白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
だって今日フランスから帰ってきて、そのまま私と待ち合わせたってこと?そんなの無謀すぎる。
「それは別だ」
「でも、観覧車なんて乗っている場合じゃ、」
「一週間も待たせたんだから、それくらいするよ」
「え?」
伸びてきた手が、簡単に私の頬に触れた。
「それに早く会わないと、誰かさんがまた他の男を引っかけるだろ?」
意地悪く緩む口元さえ色っぽい。
「それって私のことを言っています?」
「他にいるか?」
「でも、私は引っかけたりなんてしません」
「ああ、引っかかる方か」
ムカつく。そうやって私の反応を見て楽しんでいる。
「失礼なこと言わないで下さい。だいたい、いつも男の人と会っているわけじゃないです」
「なら、俺が日本にいない間、男と食事してない?」
その質問に、思わず視線を逸らす。
「それは、色々付き合いとかで」
今年に入ってからずっと誘われていた、大手自動車メーカーのエリート営業マンと食事に行ったのは、昨日のことだったりする。
「引く手数多とは芙美のことか」