白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「美味しいです」

「なら、次頼むときは芙美が選べよ。他のメニューも美味いから」

「……次も、あるんですか?」

気になって、隣に座る男の横顔を見る。

「俺はそのつもりだけど」

「……そうですか」

「そういえば、この前のチョコまだ残ってるけど食う?」

「え、あ、はい!」

「さすがにあの量は一人で食えないからな」

椿王子がそう言って笑った。
どんな表情も、悔しいけど絵になる。
そんな綺麗な横顔を盗み見ながら、私はまたワイングラスを手にした。
このまま、酔ってしまいたい。


食事を終えると、椿王子に誘われてバルコニーに出た。
今日は少し暖かい。
夜景を眺める私の唇に、甘いチョコが触れる。

「ん、」

「甘い?」

「甘いです」

「美味しい?」

「美味しいです」

「そう」

< 65 / 186 >

この作品をシェア

pagetop