白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
ほら、また。
「食べますか?」
馬鹿みたいに、唇が重なる。
「ん、甘いな」
「嫌いですか?」
「いや、もっと食べたくなる」
「……ン」
後悔に、溺れそうだ。
チョコレートが体内に溶けていくように、いっそ溺れて消えてしまいたい。
シャワーの音を聞きながら、広いベッドに顔を埋めた。
肌触りの良いバスローブの袖を握る。
まるでホテルのようなバスルームに置かれたボディソープもシャンプーも、良い香りだった。
それに、海外ブランドのクレンジングと洗顔料。
男の一人暮らしのくせに、なんでそんな物が用意されているかなんてことは、考えるだけ無駄だと思った。
せめて隠してくれたらいいのに。
そうしたらこんな罪悪感も後悔も無く、感情のままに落ちられるのに。ずるい男だ。
「……椿社長」
寝室のドアが開く音に、ゆっくりと身体を起す。
そこには私と同じバスローブを身に纏う男の姿。