白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

少し水分の残る髪から溢れる色気に、身体は勝手に熱くなる。

「その顔、誘ってる?」

「……わかりません」

「ふーん」

意地悪な、それでいて魅力的な顔が、私を覗き込む。

「あの、私」

「キス、したい?」

「……そんなの、」

「したいなら、するけど?」

その目が、甘く細められる。

「……誘って、ますか?」

椿王子が、私だけを見つめる。

「そう聞こえたなら、そういう事にしておくよ」

「ずるい」

「ん?」

「私が誘ったみたいじゃないですか」

「だってそうだろ?」

「え?」

「あんな出逢い方、誘っているとしか思えないだろ」

「あれは、本当に不注意で」

見つめられる距離に、互いの呼吸も消えたように感じる。

「酔って、いたんです」

「今も、酔ってる」
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