白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「今、どこ?」

「え?」

「騒がしいけど、出掛けてる?」

「……買い物に来ています」

「一人で?」

「……二人です」

意味もなく嘘を吐いたのは、電話の相手が椿王子だったからだ。

「それは男?」

「そうですけど」

「……可愛くない女」

洋服を見て少しだけ上がっていたテンションがまた下がっていく。なのに、鼓動だけは速い。

「別に可愛くなくていいです」

「帰る時くらい声かけろよ」

その言葉が、昨日の朝を指していることに気づくのに、少し時間が掛かった。

「だって、好きに帰っていいって」

「それは朝飯食った後だろ?何が悲しくて一人で焼き魚食うんだよ」

「それなら、そうやって言ってくれないとわかりません」

「可愛げない上に、頭も悪いのかよ」

「さっきから何なんですか!?」

そんな文句を言う為に、わざわざ電話を?
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