白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
言いたい文句なら、こっちだって山のようにあるのだからと思った私に、椿王子はまた意味のわからないことを口にした。
「だから、飯の礼くらい言わせろよ」
「え……礼って、」
「朝飯、美味かった」
意味のわからないくらい、優しい言葉を口にした。
こういうのって、ずるいと思う、
「そんなこと、今更です」
「悪かった。昨日は朝から現場に行ってたんだ」
「現場?」
「今日、うちの会社が運営する会場で大規模なパーティーが日一件入っていたから、昨日は朝からずっとその準備やら打ち合わせやらで忙しかったんだ。それで結局解放されたのが今さっき」
「今って、昨日からずっとってことですか!?」
「ああ、ちょっとトラブルがあって。今日の開始時間に間に合わないかと思って、久々に徹夜。だから連絡が遅れた」
「……なんだ」
「なんだって、なんだよ」
力が抜けた私の言葉に、椿王子が困ったように笑う。
その声がくすぐったくて、昨日泣いていた自分が恥ずかしくなる。