白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
代わりに聞こえてきたのは、シャワーの音。
どうやらお風呂に入っているらしい。
「勝手に入りますよー」
広い玄関でパンプスを脱ぎ、キッチンに向かう。
途中で寄ったスーパーで買ってきた食材を冷蔵庫に入れて、お皿とカップを探す。
夕食にはまだ早いと思って、ケーキも買って来た。
お湯を沸かして紅茶を入れる。
こんなこと勝手にしていいのかわからないけれど、“お疲れ様です”って気持ちを伝えたい。
お砂糖、いるかな。
「やっぱり、出来る女は違うね」
「……え、ひゃっ」
背後から聞こえた声に振り返るよりも先に、身体は優しく包み込まれた。
静かだった室内に、体温も心臓の音も、一瞬にして倍になった。
「すみません。勝手に……」
「いいよ、ちょうど腹減ってたし」
首筋に触れる髪はまだ濡れていて、灼けるように熱い。
「ちゃんと乾かさないと、風邪ひきますよ?それに服も」
「下は履いてる」
「当たり前です」
平然を装おうと、慎重に言葉を口にする。