白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

どうしよう。
どこまでも落ちていきそう。


キッチンでの長いキスの後、やっぱりそれ以上は求めない椿王子は、私の買ってきたケーキを満足そうに食べた。
ソファに座りその長い脚を組み、紅茶を片手に持つ姿は、悔しいけれどその名前に相応しい。

「甘いものはお好きですか?」」

完食した男に尋ねると、少し考えた後で口を開く。

「昔はそうでもなかったけど、最近はよく食べるな」

「そうなんですか?」

「ああ、そういう店に付き合わされるうちに結構食べるようになっていたのかも」

そう話す口元が、何かを思い出すように緩む。

「へー椿社長にはきっと、そういうお誘いも多いんでしょうね。なんだか、こんなケーキで恥ずかしくなっちゃいます」

「芙美?」

「あ、そんなことより、今日はお疲れですよね?」

「ん?」

聞くんじゃなかったという後悔、これ以上その話題を広げたくない思いから、強引に話を変える私を、椿王子が首を傾げて見る。

「だって、帰って来てから寝てないんですよね?私、夕飯作っておくので、椿社長は寝室でゆっくりしていて下さい」
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