白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「そうかな?私はその人が芙美ちゃんにとっての白馬の王子様だと思うけどな」
「やめてよ。あんな悪魔」
「でも好きになっちゃったんでしょう?」
「……オムライス、冷めるよ」
里香の問いに答えることなく、私はスプーンの上のオムライスを口に運んだ。
椿王子が、例の写真の彼女と一緒に居るのを見たのは、その二日後のことだった。
多くの人が行き交う日曜日の街中で、嬉しそうに笑う彼を見つけた。隣を歩く女の子は、お人形みたいに綺麗で、椿王子の腕を掴みながら、楽しそうに話をしていた。
そんな彼女を見つめる男の顔は、初めて見る優しい顔だった。
私はその場から、動けなくなった。