白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
最悪な日曜が過ぎ、月曜日になっても、私の脳裏からは、
偶然見てしまった光景が焼きついて離れなかった。
「家崎さんはワインが好き?」
「え?」
「この前のパーティーのときも結構飲んでいた気がして」
「ああ、はい。好きです」
「お酒は強いの?」
「いえ、弱いですけど、飲むのが好きなんです」
いつものように笑顔を作り、グラスを口に運ぶ。
週の始まりだというのに、仕事が終わって訪れたのは六本木の会員制バー。初めて来るそこで、カウンターに並び座るのは、一ヶ月前のパーティーで知り合ったIT企業の社長。
「私服だとドレスの時とまた印象が変わるね」
彼、皆川社長は30歳という若さでありながら、会社の企業に成功し、メディアにも度々登場する有名社長だ。
「それって、良い意味ですか?」
「もちろん。ドレスの君は綺麗で魅惑的だけど、今日の君は可愛くて愛らしい」
恥ずかし気もなく口にする台詞に、社長って名の付く人はは皆こうなのかと考えてしまう。
「お上手ですね」
「事実だよ。だから今日、君を誘ったんだ。家崎さんのスケジュールはいつも埋まっているみたいだから、こうして会えることになって本当に嬉しいよ」