白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「そんな、皆川社長もお忙しいじゃないですか」

「君ほどじゃないよ。連絡先を交換したのに、いつも社交辞令のようなメールばかりだから、俺には興味がないかと思って誘うのを悩んでいたんだ」

「すみません。私、そんなつもりではなくて、本当にお忙しいと思っていたので、あまり連絡するのも申し訳なくて」

「いいよ、気にしてない。だけどその分、今夜は君と長く居たいよ」

「……そんな」

その言葉に上手く言葉を返せないのは、さっきから頭を過ぎる男のせいだ。

「あ、今のは流石に引いた?」

「え?」

「さすがにあからさま過ぎたかな?家崎さんみたいな魅力的な女性と食事なんて滅多にないことだから、つい気持ちが焦っちゃうんだ」

お道化たように笑いながら、皆川社長はワインを飲む。
とても会話が上手で、面白い人だと思う。

頭も良くて気が利く。
それにセンスも良い。
もちろん容姿も悪くない。

甘い言葉を吐くのもお手の物で、いつもの私なら、きっと簡単に流されるタイプの男性だ。
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