ねぇ、教えてよ。



放課後向かうのは、もうすぐ取り壊す予定の古い校舎。そこの3階にある、図書室。

その場所を知ったキッカケ?

そんなの覚えてない。

ただなんとなく、フラフラしてたら見つけただけ。


ガラッと引き扉を開けたっていつもそこに人はいない。

みんな新校舎の綺麗な図書室を利用しているから。


独特な雰囲気と、
僅かに残された処分予定の古い本の匂いと、
シン、という音が耳にこびりつくほど静かな空間。

読みたくもない本を選び、日当たりのいい席に腰掛けてただ時間が過ぎるのを待つ。

退屈だけど…それでも、あそこで過ごす時間が一番好き。





ガラガラッ…



辿り着いた図書室。

そこの扉を開けると、ふわっと風が吹き抜けて胸辺りまで伸びた髪を揺らす。

誰もいないここは、窓なんて開いていないはずなのに…

目に飛び込んできたのは風に揺れる古びたカーテン。

そして、



「ここで何やってるの?
ーーー…相馬(そうま)先生」



舞い上がる紫煙の中にいた、その人。





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