ねぇ、教えてよ。
「先生って悪い大人だったんだね」
「煙草吸ったら悪い大人か?」
「ううん。ただ…イメージと違った」
「そんなもんだよ。イメージ通りの人間なんて
この世にはいない」
…そうなんだ。
たしかに、誰にでも敬語で話す先生はここにはいない。あれは…偽り?仮の姿?
そんなの、どっちでもいいや。
「先生、質問があります」
「珍しいな。優等生のおまえが」
「幸せって、何ですか?」
「…は?」
ポロッと口から落ちた煙草は虚しく床に転がって。
見開いた先生の漆黒の瞳が印象的だった。
先生、こんな質問をする私はおかしいですか?
だけど、放課後質問を受け付けてくれるのならば…
私に、その答えを教えてよ。