秋の焼き芋争奪戦
第一章:鳥ガラ使って豚骨ラーメン
秋にもなると、午前四時の冷たい空気が頭に当たる。うっすらと伸びた程度の頭髪は、まるで最近の高校球児のような丸刈りだ。
僕はもう、いい歳をした大人であり、商店街のカレー屋でコックとして働く立場だが、まだオシャレに気を使っていたい。
そんな要望を美容師に告げたら、坊主頭にされてしまった。文句を言おうと思ったが、今の若者の間では、こう言う髪型も流行している。と言われてしまい、僕は仕方なく、それに従った。
慣れてしまえば、坊主頭と言う物も、そう悪いものではない。そんな風に思えるようになった頃、何を思ったのか、店長も坊主になっていた。どうやら、同じ美容院に行き、同じように諭されたようだ。
「今の若者の流行と言うが、ワシから見れば、二十や三十も下じゃないか。全く、人を馬鹿にしている。」
そう言っていた店長だが、定期的に同じ美容院に行っているのは、どう言う理由なのだろうか。この人も、いい歳をして若者の流行を追っているとしか思えない。
そんな僕が、早朝にも関わらず、店の玄関先にいるのは理由があった。
この店の店長の元で、コックとしての修行をしているからだ。つまり、住み込みで働いているから、こんな時間に起きているのだ。
店長からは、従業員の食事を作ることも修行になる。と言われているが、本当は、自分で食事を作るのが面倒だったのだろう。
「おはよう。今日の朝飯は何だ。」
野菜の入った段ボール箱を抱えながら、店長が問いかけてくる。
「野菜炒めと、味噌汁です。」
こう言うと、普通の献立のように聞こえるが、実際には少し違う。ジャガイモの皮を塩で炒め、人参の皮は細く刻んで味噌汁の上に散らす。従業員用の食事は、家庭では捨ててしまう所を使って料理を作るように指導されている。
「家庭では、ジャガイモや人参の皮など捨ててしまうだろうが、野菜の皮も調理するのが、正しい姿と言うものだ。」
ここはカレー屋なので、自ずと、ジャガイモや人参の皮が大量に余る。それを捨てるのではなく、料理として活かせ。と言うのが、店長の教えだった。もちろん、カレーの具には玉葱も使われるが、さすがに、玉葱の皮は捨てている。
「いくらなんでも、玉葱の皮を食べるのは無理だからな。」
僕はもう、いい歳をした大人であり、商店街のカレー屋でコックとして働く立場だが、まだオシャレに気を使っていたい。
そんな要望を美容師に告げたら、坊主頭にされてしまった。文句を言おうと思ったが、今の若者の間では、こう言う髪型も流行している。と言われてしまい、僕は仕方なく、それに従った。
慣れてしまえば、坊主頭と言う物も、そう悪いものではない。そんな風に思えるようになった頃、何を思ったのか、店長も坊主になっていた。どうやら、同じ美容院に行き、同じように諭されたようだ。
「今の若者の流行と言うが、ワシから見れば、二十や三十も下じゃないか。全く、人を馬鹿にしている。」
そう言っていた店長だが、定期的に同じ美容院に行っているのは、どう言う理由なのだろうか。この人も、いい歳をして若者の流行を追っているとしか思えない。
そんな僕が、早朝にも関わらず、店の玄関先にいるのは理由があった。
この店の店長の元で、コックとしての修行をしているからだ。つまり、住み込みで働いているから、こんな時間に起きているのだ。
店長からは、従業員の食事を作ることも修行になる。と言われているが、本当は、自分で食事を作るのが面倒だったのだろう。
「おはよう。今日の朝飯は何だ。」
野菜の入った段ボール箱を抱えながら、店長が問いかけてくる。
「野菜炒めと、味噌汁です。」
こう言うと、普通の献立のように聞こえるが、実際には少し違う。ジャガイモの皮を塩で炒め、人参の皮は細く刻んで味噌汁の上に散らす。従業員用の食事は、家庭では捨ててしまう所を使って料理を作るように指導されている。
「家庭では、ジャガイモや人参の皮など捨ててしまうだろうが、野菜の皮も調理するのが、正しい姿と言うものだ。」
ここはカレー屋なので、自ずと、ジャガイモや人参の皮が大量に余る。それを捨てるのではなく、料理として活かせ。と言うのが、店長の教えだった。もちろん、カレーの具には玉葱も使われるが、さすがに、玉葱の皮は捨てている。
「いくらなんでも、玉葱の皮を食べるのは無理だからな。」