消える僕の前に、君が現れたら。
電車に乗って、大学へ向かった。

ついて早々、そそくさと中に入る。

体を冷やしたら終わりだ。

10月の初めだからまだまだ暖かいんだけど今日は風が冷たくて、つよいもんだから気温は低め、普通に肌寒い。

入るなり、よく授業を受けてる佐藤先生に遭遇して。

「え、インフルなんじゃなかったっけ」

あ。

「大袈裟すぎ。風邪ですって、もうほぼほぼ治りましたよ」

「急に俺の授業来なくなったから、割と心配してたんだぞ、唯一来てくれる1年だし」

でも佐藤先生の授業、最近全然行ってなかったな。

最後に行ったのいつだっけ…。

あ、レポートめっちゃ溜めてた気がする。

「まあまあ、ほら、ちゃんとマスクもしてるし…ゴホゴホ」

「本当に大丈夫かよ…無理すんなよ」

「はーい…風邪治ったら溜まってたレポートちゃんと書きますね」

すると先生、おかしな顔して。

「?」



「レポートなら、この前まとめて出してくれたぞ。ほら、隣の女子と喋ってた時の授業」

「え?」

出してたのか…?

「大丈夫、そこまで気にすんなって。ちゃんと出してるから。あ、何?もっと追加して欲しい?休んでた分のやつ」

「…あ、いや、いいです。…ケホッ、じゃ」

腕を軽く上げて、その場から、早々と離れたくて、先生と無理やり会話を終わらせた。

僕がその場から去る時に、耳打ちで、

「…頑張れよ」

って声が。

聞こえた気がした。

薄々、分かってんだなーと。

半年くらいしかお世話になってないのに。

半年もなってないか、あんま行ってないし。

…先生ってあなどれないな。

けど。

ごめんね、先生。

ごめんなさい。




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