消える僕の前に、君が現れたら。
エレベーターで上に登り、途中から広い渡り廊下を歩いて反対側の校舎へ向かう。

普段は解放されてるが、中々人が来ないPC室。

今日は運が良く、1人だったから、窓を開けて風に当たった。

風に当たりながら、PC室でいつもの。

自分の病気、先天性嚢胞性肺疾患について。
あと今日はもう1つ。

それによって出来た肺がんについて。

パソコンを起動してカフェモカを片手に調べた。

…ヒロくんも。

ごめんね、ごめんなさい。

嘘をついた。

友達の作ったご飯は確かに食べたかったけど、嘘だよ。

ヒロくんが、外出を許した。

それと肺がんについて調べたけど。

僕の目の前の画面が全てを物語っていた。

間違いない。

僕の肺がんは多分、かなり重い状態にある。

死んでもおかしくないから。

それくらい重いから。

…だから僕は、今ここに来れてるんだ。

静かに、少しずつ。

1人しか居ないこの空間が重くなっていた。

それは事実であることを物語っていた。

肺がんを治すためにはって、抗がん剤とか、あと転移しないための手術を何回かしないと。

そう調べた限りではあった。

生きてるけど、ギリギリの状態。

1番、辛くて遠い状態。

それを僕は。



見たから。

…分かる、それがどれだけ辛いか。

悲しいか。

ねえ、ヒロくん。

僕がここに来たのは。

やりたかったことは。

なんだと思う?

それはね。

…。

死ぬ事だよ。




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