今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
「少し話さないか? 立ち話もなんだから――」
そう言って、怜士は助手席のドアを開ける。
沙帆の方も、改めて怜士と話す機会を作らなくてはと思っていた。
「わかりました」と承諾し、車へと乗り込む。
まずは何から話せばと思っているうちに怜士が運転席に乗り込んできて、ダンとドアを締める音が響いた。
「早速だが、引っ越しの手配をしようと思う」
「えっ、もうですか?」
「無事、挨拶も済ませたことだし、何も問題はないだろ」
当然のことながら、婚約をして結婚を控えるのなら、新居で一緒に生活していくことは当たり前のことだろう。
沙帆の素のリアクションに怜士はわずかに眉根を寄せる。
「何か不都合でもあるのか?」
「い、いえ、そんなことは……」