今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
自分から話に乗っておいて、このとなりにいる怜士とひとつ屋根の下で生活を共にするという事実に、今更ながら沙帆は困惑するばかりだった。
互いの家のため。自分たちの都合のいい人生のため。
そんな理由でする結婚だとしても、家族以外の男性と一緒に暮らすなんて初めてのこと。
その生活に全く想像がつかないのだ。
「この間の部屋を見てもらった通り、大抵のものはコーディネートして入れてもらう手配を取ってある。部屋数はお互いの分あるから、どうしても運び入れたいものだけ持ち込むといい」
「わかりました……」
「用意ができたら知らせろ、業者を手配する」
淡々と話を進める怜士の声を聞きながら、沙帆は心に隙間風がすーすー吹いていくような気分になっていた。
(仕方ないことかもしれないけど、なんか事務的……)