今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
すぐ背後で怜士の声がして、沙帆は驚いたように振り返る。
過剰な反応を見せた沙帆が面白かった怜士は、おもむろに沙帆の手首を掴んで引き寄せた。
「でも……希望があれば、ここに一緒に眠るベッドを入れてもいいが」
「えっ……!」
どこか色気を纏った空気で言われ、沙帆の頬が一気に熱を持つ。
それを面白がるように怜士は沙帆の腰に両手を回し、「どうする?」なんて聞きながら身体が密着するほど抱き寄せた。
「んなっ……そっ、そんなの、必要ないですっ!」
なんとか拒否の意向を示し、回された腕を引き剥がしにかかる。
しかし、がっちりと固定されているように離れない。
「あのっ、ちょっと!」
「大丈夫か、顔が真っ赤だぞ」
怜士はクスクス笑いながら沙帆の顔を覗き込む。
ますます追い討ちをかけられた沙帆はどうすることもできず、離してもらうことを諦め両手で赤らんだ顔を覆った。
(もうっ、無理無理!なんなのー⁈)