今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


クスクスとくすぶるような笑いを噛み殺し、怜士は沙帆を解放する。


「そんなんじゃ、一緒に寝るなんてショック死だな」

「……っ! からかわないでください!」


沙帆はフイと怜士に背を向け、今更赤面した顔を隠す。

間が持たず、「あの、聞きたいことがあるんですけど!」と話を変えて入りかけた部屋に背を向けた。

後方から「くっ」とまた笑った気配を感じる。

今まで全く男性と接したことがないということではない。

だけれど、沙帆は面白いほど怜士を楽しませる反応をしてしまう。

からかわれているのは明らかなのに、相手の喜ぶリアクションを取ってしまうのが悔しすぎる。

これから一緒に生活していくというのに、これしきのことで動揺していたら身が持たない。

そうは思っても、間近にあの綺麗な顔が迫ってくると鼓動がどうにも忙しなくなってしまうのだ。

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