今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
一店舗でそれなりの量になった購入品は全て配送を依頼した。
そうして何店舗かを回って目的の買い物を済ませると、あっという間に十七時を過ぎる時間になっていた。
「あとは、何か見たいものは?」
「もう十分です。ありがとうございます」
「そうか」
買い物をするたびに離される手も、またいつのまにか繋がれる。
初めは手を取られているというような繋ぎ方だったのも、気付くと指と指を絡めて繋がれていて、沙帆は気付かれないように一人緊張した。
自分の手よりも断然大きく、骨張った男特有のゴツゴツした指。
それでも慣れというのは怖いもので、買い物も終盤戦になると、恋人繋ぎで歩いていることもさほど気にならなくなっていった。
次第に余裕が出てくると周囲にも意識が向き、今度はやたらと集まってくる視線が気になり始めた。
沙帆のとなり、斜め上に注がれる視線。
向かいからやってくる女性たちの目線が、必ずといっていいほど怜士へ誘われていく。
中には男性でも怜士に視線を奪われていく人もいて、老若男女問わず人目を引いていくのをとなりで目の当たりにした。