今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
一緒に住み始めてちょうど三日が経つが、あれからちゃんと怜士と顔を合わせたのはこれが初めてだった。
食器など必要なものを一緒に買いに行き、食事をして帰ったあの日……。
玄関を入った先でキスをされ、あの後、沙帆はしばらく部屋から出ていけなかった。
それから三日、なんだかんだまともに顔を合わせていなかったのだ。
正確には、生活のリズムが見事に合わず、二日目の朝は沙帆が出かけるまで部屋から出て来ず、夜はかなり遅い時間に帰ってきたようだった。
今日は逆に早朝から出かけてしまったようで、沙帆が朝起きるとすでに家の中に姿はなかった。
通用口から外へと出ていく広い背中について行く。
上背のある白衣姿はスタイルの良さを際立て、嫌でも人の目を惹き付ける。
この間の外出でも感じ取っていたが、怜士はもうこういう視線には慣れっこなのだろう。
かなり見られているのに気にも留めない様子は、一緒にいる沙帆の方が落ち着かなかった。
「仕事中に悪いな」
「いえ……どうかされましたか?」