今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
明日の約束をしながら、沙帆はふと思い浮かんだ疑問に口を開く。
「あの、お聞きしたいのですが……家での食事は、どうしたらいいですか?」
「……というのは?」
「あ、いえ、その……怜士さんのお仕事のリズムが掴めないので、どう用意したらいいのかと思って」
同じ場所で暮らし始めても、約三日ぶりに顔を合わせたほどだ。
当直だと昼夜逆転もするから、食事の時間も回数も変わるはず。
それに、日常的に接待や会食もきっと多い。
だから、家で食事をするなんてことしないのかもしれない。
聞いておいていらないお節介を焼いてしまったと沙帆は小さな後悔をした。
「そんな気は使わなくてもいい」
(やっぱり……)
「仕事上、不規則なことも多いから、俺のことを気にかけると面倒くさいだろう」
「え……面倒なんてことは全然ないです。何か作るのも、一人分も二人分も変わらないので」
むしろ、一人分を作る方が逆に手間がかかったりする場合もある。
「あの、なので、迷惑でなければ適当に食べてください。一応、一緒に作っておいておくので」
勢い任せに更にお節介な発言をしてしまったかと思ったが、怜士はフッと微笑を浮かべる。
そして、「迷惑なわけないだろ」と、また沙帆の頭を優しく撫でた。