今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


二枚目の自動ドアを入ると、正面には広い待合ロビーが広がる。

右手にはシックなブラウン木目調の受付カウンターがあり、外来受付と会計、入院受付の窓口、更にその横には再診用の自動受付機なども設置されている。

患者は各々自分の受付を行い、目的の診療科目のある階へと向かっていく。

バッグからスマホを取り出して、一瞬考える。

仕事中、いつでもスマホに入った連絡を取れるとは限らない。

考えた結果、沙帆は控え目な足取りで受付カウンターへと近付いていった。


「あの、すみません……三角と申しますが、こちらの、鷹取怜士さんを訪ねてきたのですが」


外来受付に控える女性にそう声を掛けると、一瞬ハッとしたような顔をされ、沙帆はどきりとする。

でも話が通っているのか「そちらにお掛けになって少々お待ちください」と言われた。

来院した患者たちが掛ける場所に元気な自分が座るのも悪いと思った沙帆は、邪魔にならないように隅の方で立って待機する。

病院といっても近代的な内装で、ホテルのロビーのようだ。

すぐそばに置かれた観葉植物の木の横に、肖像彫刻が飾られている。

数歩近付いて見てみると、〝創立者 鷹取源次郎〟と記されていた。


「沙帆」

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