今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
病院の入るビルの地下二階駐車場に、怜士の愛車は駐車されていた。
使い慣れた様子で出口ゲートをくぐり、車は地上へと出ていく。
ハンドルを握る怜士の横顔を眺め、沙帆は改めて感嘆のため息が漏れ出ていた。
いつ、どの角度から見ても端整で美しい顔をしている。
置き物として飾ってあったら、いつまでも眺めていられる気がするのだ。
「なに、そんな見つめて」
「えっ……! あの、今から、どちらに?」
見ていたことを誤魔化そうと慌てて質問したものの、全て見透かされている様子。
怜士はフッと鼻で笑う。
「どこだと思う? 俺たちにとって重要なところなんだけど」
(重要なところ……?)
「……わからないです」
沙帆には全く検討がつかない。
黙って考え込む沙帆に、怜士は「着けばわかる」としか言ってくれなかった。