今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
紅茶を注いだカップにキューブシュガーを落とし、千華子はふふっと笑う。
「そうね……若い頃は、それは思うこともあったわよ? でも、仕事もお互い忙しかったしね」
千華子の言葉に、沙帆の頭の中は再び怜士のことでいっぱいになる。
「あったんだ、やっぱり……」
「それはね。でも! 一緒にいられる時は、その分しっかり甘えるし、充電するから満足よ」
娘を前にしても、千華子は遠慮なく夫への愛を語る。
昔からそういうノリで、二人が一緒の時は仲睦まじい姿をよく見せられてきた。
年頃の時は恥ずかしいと目を逸らすことも多々あった沙帆だが、今は仲良きことは美しきかなと思えている。
「仕事を頑張ることが、私も良嗣さんも家族を守ることだと思って頑張ってきたから、寂しいとは思わなくなったわ」
「え……?」
「あなたたち二人には、一緒にいられないことも多くて、寂しい思いをさせたと思ってきた。でもね、何よりも大切なのよ、私たち夫婦にとって、二人は」