今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


実家から帰り道。

沙帆は徒歩で、最寄り駅から住まいのタワーマンションまでの道を帰っていた。

例のごとくアップルパイがボリューミーで、今日はこのまま夕飯を食べなくても良さそうなくらいお腹が満足感でいっぱいだ。

帰ったら、お風呂に入って久し振りに本でも読もうか、ゆっくり塗り絵でもしようかと考える。

そんな時、「パパッ」と車道からクラクションを鳴らされて、見覚えのある外車に足が止められた。

相手の車も路肩に停車する。

(どうして……)

運転席から降りドアを勢いよく閉め、歩道に駆け上がってくる姿に、沙帆は呆然と近付く顔を見つめていた。

「沙帆!」

以前となんら変わりのない調子で下の名前を呼ぶのは、あのナイトプールの日に知らない女性といた元彼、飯尾謙太郎(いいおけんたろう)だった。

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