今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
誕生日でクリスマスイブの今日は、普段と変わらずクリーンスタッフの仕事を入れている。
朝からの出勤で、夕方までのシフトだ。
冬も深まり、朝は冷え込む。
冬生まれのくせにあまり寒いのが得意ではない沙帆は、パジャマの上にふわふわ素材のガウンを羽織り、洗面台へと向かう。
あくびを嚙み殺しながらドアを開けると、すぐ向こうに裸体が現れ、思わず「きゃっ」と声が出てしまった。
「すみません!」
即座に手にしていたノブを引っ張る。
そのままの静止状態でノブを握り締めたまま、沙帆は急に起こされたように心臓が鳴り響くのを感じた。
まだ半分寝ぼけていた頭も、一気に冴えていく。
(やだ、全然気付かなかった……)
普段なら、ドライヤーとか何か物音がして浴室を使っているとわかるから、間違ってドアを開けたりしない。
だけど、今は全くその気配がなかった。