今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
近距離から濡れ髪の端整な怜士に見下ろされて、沙帆は咄嗟に両手で顔を覆う。
(まだ顔も洗ってなかった……!)
寝起きの顔を間近で見られるなんて拷問。
手で顔を隠したまま、逃げ道のない沙帆は壁に背を押し付けたままずるずると床へとへたり込んでしまった。
座り込んだ沙帆の頭上から「何やってんだよ」と笑い混じりの声が聞こえる。
(何って、あなたが壁ドンなんてするから……!)
恐る恐る顔を上げると、怜士は通常の距離を取って髪を拭きながら「おはよう」と微笑を浮かべていた。
沙帆は壁に手をつきながらゆっくりと立ち上がる。
「すみませんでした、いるの気付かなくて、開けてしまい……」
努めて平静を装って先程の無礼を謝罪する。
怜士はそんなこと大したことなさそうに「そんな謝ることじゃないだろ」と言う。
「それより、今日の予定は?」