今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
「え……今日、ですか? 朝から仕事です。夕方まで」
「夕方って?」
「五時です」
答えを聞いた怜士は「ふ〜ん」と目を天井へと向け思案顔を見せる。
「じゃあ、その後、空けといて」
「えっ?」
「何、なんか予定あるのか」
ぶんぶんと首を横に振って〝ない〟を答える。
「だったら問題ないな。たまには食事にでも行こうかと思って」
(え……私と?)
予期せぬお誘いに沙帆は瞬きを忘れてしまう。
何も返事をしないでいると、一歩近付いた怜士の人差し指が眉間をツンと押した。
「聞いてるのか?」
「き、聞いてます!」
無駄に声のボリュームが上がった沙帆の返事に、怜士はふっと仕方なさそうに微笑む。
「じゃあ、終わったら連絡するから、帰って待ってて」
頷き「はい……」と答えながら、沙帆は高鳴る鼓動に胸を押さえていた。