今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~



やっとできた連絡に沙帆が応じないことに、怜士は白衣を脱ぎ捨て医局を飛び出した。

協力医として通う大学病院の日勤。

十七時には勤務から解放される予定が、時間前に患者の容態が急変した。

その患者とは、怜士が主治医となっている、あの咲良だった。

午後回診した際には、なんの異常も気になる所見もなかった。

それが、心疾患と共に患う不整脈の発作を急に起こしたのだ。

強い動悸と呼吸困難が見られ、頻脈を停止させるために緊急的に抗不整脈薬を点滴、心電図検査を行いながら経過を観察した。

幸い更なる緊急事態に陥ることはなかったが、未成年のためご両親の到着を待ち、症状や状況の説明等にも追われた。

全てのことが終息し、怜士本人が席を外していいと判断できたのは、時計の針が二十一時を過ぎた頃だった。

何もなければ、本当は十七時過ぎには病院を出ている予定はずだった。

そのつもりでいたから、今朝沙帆にも仕事が終わったら帰宅して待っていてほしいと話し約束したのだ。

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