今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
いつの間に眠りの世界に落ちてしまったのだろう。
手放していた意識が戻ってきた瞬間、沙帆はいつのまにか寝てしまっていたことにパッと目を開いた。
どのくらいの時間寝てしまったのかも、今が何時なのかもわからない。
確かリビングのソファーで……と思った時、身体の上に見慣れないグレーカラーのシーツが掛けられているのが視界に入る。
同時に、ソファーで寝ていたはずが、どうも場所が違うことに感覚で気付き身体を捩った。
「――わっ!」
「……おはよう」
「へっ……⁈」
寝返りをうつと、すぐ目の前にどアップで怜士の顔が現れ、沙帆は一気に目を覚ました。
驚いて両手で口元を覆い、見開いた目を左右に動かす。
頭の上にある間接照明が照らす薄暗い部屋は、越して来たばかりの時にドアの外から一度覗いたことのある怜士の自室だった。
その部屋のベッドの中にいる自分の状況に、頭の中は一気にパニックに陥る。