今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
沙帆の首元から顔を上げた怜士は、沙帆の唇に触れるだけのキスを落とし、ベッドから出ていく。
部屋に一人きりになって、沙帆はガバッとベッドから身体を起こした。
心拍数が異常なほど上がっている。
あんな風に迫られて、ドキドキしないはずがない。
ロールカーテンが下がった窓の向こうはすでに明るかった。
ベッドサイドに置かれた時計を見ると、朝の八時を回ったところだった。
(でも、ここに寝かされて、昨日は何もなかったんだよね……?)
やっぱり昨日寝てしまったままの格好で、ストッキングまでしっかりと履いている。
沙帆はベッドを出て自分が寝た乱れを直し、部屋のドアを静かに開けた。
そのタイミングで目の前を怜士が通りすがっていき、玄関へと出ていく。
誰がこんな時間から来たのだろうと思いながらリビングに向かうと、戻ってきた怜士の手には見覚えのある紙袋が握られていた。