今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
あのクリスマスイブの昼――咲良はなんの気なしに怜士に聖夜の予定を聞いたという。
そして、返ってきた怜士からの答えが、沙帆と過ごす約束をしているということ、更には婚約者だということまで教えてもらったと、咲良は言った。
(うそ……だって、下手に刺激しない方がいいかもって、怜士さんが……)
咲良からの告白に、沙帆は言葉が出てこなかった。
怜士を好きな咲良が、彼本人からそんな話を聞かされたら、自分が同じ立場なら絶対にショックを受けるからだ。
「まぁ……それで発作起こしちゃったかもしれないわよね」
うふふっと冗談めかして言われても、沙帆はもちろん笑うことなんてできない。
発作が起きた真の理由なんて絶対にわからないことだけれど、少なからずそれが関連しているのではないかと思わずにいられなかった。
「怜士先生、あなたのことが好きなのね」
「えっ……?」
「その話をした時、あなたへの愛しさが込められていたわ」
そんなことあるはずない。
咲良にはそう見せただけで、それは表向き〝婚約者〟としての演技だ。