今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
「明日のために用意した服だ。一緒に見にいければよかったけど、悪いな、俺が勝手に選んできた」
「え……ありがとうございます」
DVDを停止し、おもむろにソファーを立ち上がると、そばまで来た怜士が差し出すそれを両手で受け取る。
中にはサイズ違いの箱が二つずつ、計四つ入っていた。
勝手に選んだと言われても、沙帆は全く問題ないと密かに思う。
普段からオシャレでセンスのいい怜士のことだ。
沙帆が自分で選ぶよりもむしろ正解だったに違いない。
沙帆に紙袋を手渡した怜士は、チャコールグレーのスーツの上着を脱ぎ、ソファーの背もたれに投げ掛ける。
しっかりと締めてある千鳥格子のネクタイを緩めると、沙帆が掛けていたソファーのとなりへ腰を下ろした。
さっき怜士が帰ってきてから、沙帆の落ち着かない気持ちは増大している。
怜士の顔を見た途端、秘めた様々な思いに押し潰されてしまいそうで、心臓は不安な音で鳴り続けているのだ。