今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
衝撃走る再会
先週発生した台風が、昨日の夕方東京へと接近し、昨晩深夜に通過していった。
今朝は朝から太陽が顔を見せ、気温はぐんぐん上昇している。
胸元に社名ロゴが入ったライトグリーンのポロシャツをインした、ネイビーのテーパードパンツ。
いつも下ろしている髪は後ろで一つに束ね、頭には胸元と同じロゴが入るネイビーのキャップをかぶる。
ウエスト部には、仕事に使う道具を収納した腰袋を付け、手にはモップ。
これが、沙帆の仕事のユニフォームだ。
両親、兄が医師という家族を持ちながら、沙帆は一人、その道には進まなかった。
もちろん、医大への道を両親には望まれた。
だけれど、沙帆は断固としてその道を拒んだのだ。
両親のようにはなりたくない。
結婚して家族を持っても、人を雇って育児も家事も任せるような家庭に、自分はしたくない。
その想いが強く、医学を志すことはしなかった。