今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
医師の両親を持ち、寂しい思いをしてきたという沙帆に結婚を申し込むことは、怜士にとって全くの不安がなかったとは言えなかった。
それでも沙帆を想ってしまった気持ちは大きく、諦め切れるものではなかった。
「その気持ちだけで、私は十分幸せです」
守れない約束をしない怜士の誠実さ。
そして、医師という身の上でも自分に寂しい思いはさせないと言ってくれた怜士の優しさに、沙帆はもうそれだけでも十分幸せだった。
「私も、怜士さんを幸せにできる奥さんになれるように頑張ります」
にこりと微笑んだ沙帆を目に、怜士はそのとなりへと身体を寄せる。
横から腕を伸ばし、両手で沙帆をシーツごと抱き締めた。
「プールに落ちて、脚立から落ちて、よく落ちる女だと思ってたけど……最後は、俺が沙帆に落ちたな」
頭の横から聞こえてきたそんな言葉に、沙帆は思わずクスッと笑う。
「それを言うなら、私はやっぱり落ちすぎなんですよ……怜士さんにだって、ころっと……」
抱き締め合ったまま、二人してクスクスと笑い合う。
にこりと笑みを交わすと、どちらからともなく唇を重ね合わせた。
Fin*