今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
番外編・君の好きなところ
縁に花の模様が彫刻されているクリーム色のカップとソーサーをトレーに載せ、沙帆がキッチンから出てくる。
「怜士さんは、ストレートですよね」
怜士の前へその一つを置き、そのとなりに残りの一つを置く。
カップの中の綺麗な琥珀色からは、ふんわりと湯気が上がっていた。
外で食事を済ませ、帰宅した二十一時過ぎ。
明日は、二人の挙式披露宴が執り行われる大切な日だ。
怜士の正式なプロポーズで本物の婚約者となった二人は、あの祝賀会のあとすぐに籍を入れた。
怜士がすぐにでもそうしたいと望み、沙帆も同じ気持ちだったからだ。
「私は一つ入れよう」
一緒に持ってきたシュガーポットから砂糖の塊を一つ摘み、自分の紅茶へと落とし入れる。
ソーサーに添えられた金色のティースプーンでクルクルとかき混ぜた。
「いよいよ……明日ですね」